▼娘が、人が使っているものを欲しがり、困っています。
先日は、公園で、お友達使っていたシャベルを欲しがり、大泣きしました。
友人が家に遊びに来た時には、自分のおもちゃがたくさんあるのに、友人の子供のをおもちゃをとってしまいました。
ショベルは同じものを購入しましたが、あまり気に入っていないのか使わず、ほかの子のおもちゃに目が行っています。
おもちゃも買ってあげているけれど、どうしてなのか、また、人が使っているものを欲しがったときにどのように言い聞かせたらいいのか教えてください。

▼ご相談いただきありがとうございます。
2歳のお嬢様がお友達の使っているシャベルを欲しがり大泣きしたとのこと、こういった場面は子ども同士が集まる場では、実によくあるものですが、対応するママにとっては気苦労の多い場面ですよね。
今日のお話しは。3つのポイントに絞ってお話ししましょう。
①お友達のオモチャを欲しがって大泣きする等の子どもの行動は成長の証です
②子どもの気持ちを代弁することも大人の役割です
③子ども同士のトラブルは、大人同士のトラブルではありません
それぞれを詳しくお話いたします

まずは一つ目①お友達のオモチャを欲しがって大泣きする等の子どもの行動は成長の証です
産まれたばかりの赤ちゃんは自分からオモチャを欲しがることはありません。ママやパパ、周りの大人がガラガラであやしたり、歯固めを渡したりして楽しむようになります。
お座りの頃には両手を使ってオモチャを楽しむようになりますが、自分の使っている物への執着はあまりなく、他の物に交換されても怒る事はありません。
しかし、もう少し大きくなると自分の使っているものが目の前からなくなったり、別の物に代わると泣いたり怒ったり不満そうな様子を見せたりします。
それまで何でもよかったのが何故こだわるようになるのか?それは、物に対する好みが出て来てそれを表現できるようになった、という成長の証です。
そして更にその先にご相談の女の子の成長はあります。
この女の子は、お友達のシャベルを使いたがった、お家に来てくれた時も他にもオモチャがあるのに、お友達のオモチャをとってしまったのですよね。
この話しから、この女の子は物への興味に加えて、人へも興味を持っていることが分かります。その証拠に「同じシャベルを購入したけれどあまり使わない」、と言っていますね。
つまり、そのシャベルに魅力を感じたのではなく、お友達が使っているそのシャベルに魅力を感じた。そこにはシャベルだけではなくお友達の存在が不可欠なのです。
これは、自分とママやパパ等の身近にいる大人だけの世界から、自分と同じくらいの年齢の子どもという存在に気付き、そこに興味を持った、という成長です。
素晴らしいことですが、このご相談のようなトラブルが増えていく時期でもあります。温かい目で見守りたいですが、対応しているママにとってはなかなか厳しいのが現状ですね。

そこで2つ目の②子どもの気持ちを代弁することも大人の役割について詳しくお話ししましょう。
もし、大人が他人の使っている物を「いいな、欲しいな」と思ったらどうしますか?無理やり取り上げたり、泣きわめいて訴えたりする大人は居ないでしょ。
借りたり、同じものを購入したり、代わりになるものを探したり、様々な方法で解決しようとしますね。
では、幼い子ども達はどうして無理やり取りあげたり、泣きわめいたりするのでしょうか?
それは、解決方法の手段をそれしか知らないからです。または知っていても自分の中で一番有効な方法がそれだからです。
そこで大人の出番がやってきます。
大人はまず子どもの気持ちを受け止めましょう。「このシャベルが気に入ったのね」「お友達のシャベル、よくほれるもんね」等と言うように、子どもがこう思ってやっているんだろうな、という気持ちを言葉にして伝えます。
これは子どもの気持ちを受容したこととなり、分かってもらえた、という安心感につながります。
次に相手の気持ちも伝えます。「お友達もあのシャベルが好きなのね」「お友達、今一生懸命にシャベルで穴を掘っているね」等。こうすることで、相手にも気持ちがあることを伝えられると共に、相手のお友達も自分の気持ちを受け止めてもらえた、と安心します。
その後に、解決方法の提示を行います。ここで気を付けなければならない事は、大人の役割はあくまでも方法の提示であって、そのどの方法を選択するかは子ども次第だ、とうことです。
例えば、「貸してほしい時は“貸して”って言うのもいいね」「このシャベルと取り替えてもらおうか?」「こっちのシャベルも良く掘れるよ」等というように。

だって、問題の解決方法は幾通りもあって当たり前。周りの大人が思っている解決方法がBESTだとは限りません。
子ども同士のやり取りというのは思いもかけない事が起こります。それは大人の常識では計り知れないものなのです。
もしここで大人が「貸してでしょ」と貸してを強要し、さらに言われた側に「貸してっていわれたら、いいよでしょ」等といいよの強要までしたら…子ども達はトラブルの解決方法を1つしか学べないことになります。
大人の中には「貸して・いいよ」や「入れて・いいよ」を定型文のように教える人が居ますが、それは表面上うまくやる大人の世界の感覚での解決方法です。
貸してというのも勝手だけれど、ダメと断るのもその子の勝手です。入れてと言われた時に、入れられない理由もあるでしょう。そんな時大人は「いいよ、でしょ」と圧力をかけるのではなく、理由を聞けばいいのです。
理由を聞くと「今使ったばかりだから」とか「今日は3人家族の遊びだから」とか「この間入れてあげたら噛みついたから」とか理由が出てきます。
そうしたらそれを相手の子どもに伝えればいいのです。そこで困ってしまったらさらに解決方法のアイディアを提案すればいいのです。
あくまでも主役は子ども。大人はサポート役なのですね。
しかし、そうは言っても、子どもの傍にいてそのトラブルを見ているママはたいへんです。心苦しくなっていたたまれなくなる事も多々ありますよね。
そこで今日最後のポイント
③子ども同士のトラブルは、大人同士のトラブルではありません
をお話ししましょう
親は、特にママは、自分の子どもと自分を一心同体と考えてしまうことがあります。自分のお腹に10カ月も居てお腹を痛めて産んだんですから当然と言えば当然です。我が子が褒められると自分の事のように嬉しくて、我が子が叱られると自分が悪い事を下かのように落ち込む、そんなことはないでしょうか?
そして「子どもの行動の全責任が自分にある」と思っていないでしょうか?
そう考えていると、子どもが外でトラブルを起こした時にとても辛い思いをします。
こんなに泣きわめいてわがままな子だと思われていないだろうか?
わがまま放題言わせてしつけがなっていない子だと思われていないだろうか?
人の物ばかり欲しがってオモチャを買ってもらえないかわいそうな子だと思われていないだろうか?・・・
こうした様々な感情がママの心の中に起きて、「我が子の為」のためではなく、世間体のために子どもを叱る、なんていう場面も出てくるかもしれません。
これは当たり前の感情なのですが、よく考えてみて下さい。子どもとママは別の人格を持った別の人間です。子どもの手柄は子ども自身のもので、叱られるのも子ども自身の問題。
トラブルも子ども自身も問題なのです。
もちろん世間体も気になるけれども、子どもの生活の主役はあくまでも子ども、そのことを忘れずに大人はサポート役に徹しましょう。
大丈夫、ママが一生懸命に子どもと向き合っていることは、子どもにも周りの人にもちゃんと伝わっていますよ。
トラブルが起きたときは何かを得るタイミングです。Welcomeトラブル‼位の気持ちでドーンと受け止めましょう。

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